2002年9月28日土曜日

報告会のご案内 南米ボリビアで土の学校を造る。―地球の反対側で私たちにできること・できないこと―

9月28日(土) 午後2~5時
 
南米ボリビアで土の学校を造る。
―地球の反対側で私たちにできること・できないこと―

現地報告とディスカッションで探ります。


2002年9月10日火曜日

参加住民の声

グレゴリア・アラニヴァル・カセレス   性別:女性   
 ・学び舎完成後、会議、祭り、葬式などに利用したい。
・図書室も利用したい。
・私は10年前に離婚して、一人娘(18歳、国立サンシモン大学教育学部)を育ててきた。私はあまり字が読めないが、娘はよく勉強して、今、大学で教育学を学んでいる。兄(または弟)の家で、甥と姪たちと一緒に暮らしている。兄(または弟)の仕送りで暮らしているが娘が働いてもいる。甥、姪、娘たちによく勉強してもらいたいし、彼らのための学び舎になると思っているので参加している。今、綺麗な学び舎が出来て、とても嬉しい。

2棟目完成をむかえて  新代表 永田佳之

 21世紀は「土と水の世紀」であると言われています。オイル・マネーに象徴される大資本をもとに乱開発と自然破壊がくり返されてきた「石油の世紀」に終わりを告げ、土や水などの自然素材に本来そなわった特性を活かすような発展のあり方を大切にしていこう――そんなメッセージがこめられた言葉だといえましょう。
 私たちの会も、なんとなく土や水という自然素材にこだわり、この4年間、ボリビアの人々と共に<学び舎>づくりに取り組んできました。それは、「より速く、より多く、より大きく」を標榜した「石油の世紀」のペースとは異なり、汗を流しながら一つひとつの土ブロックの積み上げ方を確かめ、ゆっくりとていねいに進めていく作業でした。スローな作業ペースでも<学び舎>は1棟ずつ出来ていくもので、昨年に完成したフローレスタ村の1棟目に続いて、この8月に同じくコチャバンバ市郊外にあるシウダ・デ・ニーニョス(スペイン語で「子供の街」)村で2棟目の竣工を祝うことができました。

2002年9月8日日曜日

ミニ図書館(2棟目)

 
2棟目では、間取りの中に図書室なるものが登場しました。運営は今後住民がおこないます。教科書さえも高額で手に入れられない家庭の子どもたちに役立てばとの願いから、これから少しずつ蔵書をふやし、図書館の充実を見守っていきたいと思っております。


コチャバンバ州の端、山の上の村

 州の中心コチャバンバ市から東はサンタクルス、西はラパスとオルロへ続く国道があります。この国道を西へ数十分走るとコチャバンバ盆地の平地部分から出、山岳地帯となります。高度は3500から4000mとなるでしょうか。鼻の奥が少しツンとする空気の薄さです。とうに森林限界は越えており、周囲はわずかばかりの草と荒れた岩肌、深い谷と蒼でしかない空、となってきます。ここらへんで国道を南に外れ、険しい山岳道路に入ってみましょう。
 山あい急な斜面中のわずかの平らな部分が耕され、数軒の家での集落がたまに見られます。時折道ばたに放牧中の羊の群れに出会います。牧羊犬がけたたましく体全体で騒ぎます。道は山肌を廻り昇り降り、谷を越え、2時間程すると川を徒渉した先に小さな集落に出会います(TACOPAYA)。ちょうど学校が終わった時間であり集落の中のほぼ1本しかない道を小さな子ども達が大急ぎで駆け抜け、しかし私達の後になり先になり好奇心をむき出しにして来ます。ひょいとこちらから挨拶をすると、丸い大きな目と顔全体の笑顔に変わり、同時に体全体で恥ずかしさを表現するのです。陽は頭の上に昇り、家々の壁の陰翳が際立つ静かな昼のことでした。
 さて、道路はさらに山を越え高原地帯(アルティプラーノ)に入り込みます。高度4000m前後の荒涼とした台地が際限なく続くのです。1時間程で道は小さな高台の集落に入ってゆきます(BOLIVAR)。ここでは成人教育のための教師育成セミナーを見学しました。周囲の集落からの教育代表者が数十人、真摯なまなざしで相手の言うことを聞き、喋り、学ぶ場です。彼等彼女等は近い集落でも徒歩2時間、遠い所は5時間をかけて集まってくるのです。さてセミナーも終わり帰路に着くに当たって腹ごしらえを共にしました。山と盛った皿の食べ物を、腹ごしらえ、の言葉通り彼等はワシワシ食します。こちらもポンと膝を叩き、喰うことはこれだ!!! と全身で表現しつつ食します。大鍋の中の料理はあっという間に無くなるでしょう。腹がくちくなる頃、まばらに生えている丈の短い草の影が高原に絵模様を描き始めます。陽もすでに傾き、彼等彼女等は道を歩き始めました。

 ここでは、人や物の周りにあるのは山と空気だけです。人や物は地から突出し、いやが応でもあざやかに目に飛び込んできます。感傷でしかないのですが、ある程度の人口が集中し経済の潤いを受けつつあるコチャバンバ盆地の内を「安全な巣」と例えると、この山の上では、常に人々は生きることへの挑戦を続けている、とさえ感じられてしまうのです。(住んでいる方々は、まったくそうは思ってないでしょうが)
 今回はARQUE県TACOPAYA市、BOLIVAR県BOLIVAR市(それぞれの県都)、を訪ねました。それぞれ市街の人口200~400人程度の集落でしかありません。
 TACOPAYAは大きな谷あいの川に沿った街。BOLIVARはアルティプラーノ中の僅かの高台にある街です。いずれかの機会に、よりもっと詳しく紹介したい所ではあります。
(副代表 伊藤有樹)

第1棟目利用状況

 1棟目は、日本から来た職人佐藤さん立会いのもと、2001年10月に引渡し式が行われました。しかし、引渡し後も、既存の小学校で識字教育が行われ、いつから、学び舎が使われるのだろうと、個人的にはやきもきしていました。しかし、徐々に、机や棚を移動し始め、学び舎を利用し始める雰囲気がしてきました。そして、ついに待ちに待った日が来ました。学び舎が利用され始めたのです。住民たちみずから内壁の壁に美しい花の絵をペンキで描き、室内が一変していました。柱にも、子どもたちの手形がつき、使っている匂いがしていました、こちらもホッとするのと同時に、非常に感動しました。
 現在、学び舎の1棟目は、積極的に使われています。月・水・木・金曜日は、子どもたちを中心に識字教育、火曜日はベルギーのNGOから派遣されているフランチェスカ氏が、現地の婦人会を対象に識字教室と編み物教室を開いています。なかなか、可愛らしいものを編んでいたことには驚かされました。子どもたちも、コリドール部の周りを駆け回り、コリドール部に机を引っ張り出して、授業を行い、本当に、楽しそうに笑顔いっぱいで授業に参加しているのを見ていると、こちらも、本当に楽しくなりました。しかし、学び舎が完成するまで、婦人会は小学校を間借りして授業を行い、子どもたちにしてみたら学校にも行けなかったのだろう、たとえ行けたとしても、親方の給料の一日分もする教科書などそうそう買えないので授業についていくのは本当に大変だろうと考えると、なんとも言えない気持ちに締め付けられました。建物の状況は、屋根が一部、豪雨と強風で煽られ、落ちてしまいましたが、そこに関しては、職人佐藤さんが修復し、現在、なんとか大きな問題なく、使われています。今後、どういう風に使われていくのか注目していきたいと思っています。


第2棟目完成 建設経過報告  

 2001年10月2日に、コチャバンバに到着。2棟目の現場を訪れると、作業は職人だけで行われていたのです。日干し煉瓦づくりも、職人が行っているではないですか!? それ以降の作業、基礎や日干し煉瓦積み等も職人だけで行われていました。住民参加はどこへいってしまったのでしょう。住民の考え・汗水が建物に染み込むことで、住民が学び舎に愛着を持ち、長期間、建物を使っていくのではないでしょうか。そこから、自治会との、やりとりが始まりました。