9月28日(土) 午後2~5時
南米ボリビアで土の学校を造る。
―地球の反対側で私たちにできること・できないこと―
現地報告とディスカッションで探ります。
主催:立教大学五十嵐教室&学び舎づくりを支援する会
資料代:600円
NGO関係者もふくめ多くの方々にご参加いただきました。質疑応答では意義深い討論が行なわれ,当会にとって貴重なご意見を多数いただきました。3棟目建設前の報告会。ここであらためて振り返り,2棟目までの反省点などがその後どう生かされたか? 自省をこめ,ここに遅ればせながらその一部をまとめ掲載させていただきます。
識字にはケチュア語VSスペイン語?
当会が活動するエリアではスペイン語とケチュア語の両方で識字教育が行われている。私達は学び舎を建設する際に、住民の声を聞いた上で、スペイン語の識字教育を行っているIインファンテ(現地NGO)と連携することとなった。ただ実際には自分たちの母語であるケチュア語を重んじる住民も多く、スペイン語を学びたいという強い意志が見えないこともある。「スペイン語を学ぶと仕事につける」という「ストーリー」をどの程度認識されているのか。
土の建築
「土の建設」を実践していない日本人が、ボリビアの人々にその意義や有効性を語るのは矛盾があるかもしれないが、私達はボリビアの人々への「対話の材料」という位置づけで捉えている。ボリビアでは、土の家は貧しさを表すとともに虫が発生して快適ではないという認識があり、トタンのような高価な金属材料(=富の象徴)の家を持ちたいと望むことが多い。そのような認識がある中で、ボリビア人があまり好んでいない「土」でも、規模が大きく頑丈で害虫を予防できる建築が可能であるということを住民たちと考える対話の場として、当会は「土の建設」で学び舎を作ることを住民に提案している。
活動サイトの選定・住民参加
第2棟目の学び舎建設の時に、住民が学び舎建設のサイトを決めていたら、手伝いを呼びかけなくても作業に加わったのではないだろうかという質問があった。 活動サイトは、インファンテと、自治会とともに決めている。しかし次の大きな要素から支障がでたことが考えられる。まず、住民にも労働賃金をもらって建設を手伝うという感覚があったこと、また、日々の生活も大変なのに実際無償で手伝う余裕がなかった。また、現地で連携していたインファンテが財政難で身動きがとれなくなった。さらに、大統領選挙で住民・自治会が与党・野党に二分化したという政治的な理由も、作業に影響がでた。学び舎の現地駐在員は村の自治会を窓口として足しげく働きかけたが、自治会と住民の間に隔たりがあり、自治体が住民から疎外された存在であったことも影響した。
エクアドルでNGO活動をされている方から、人々にきちんと働きかけ、なぜ作るのかという動機付けを明確にすれば手伝いにくるのでは、という事例が紹介された。NGOは住民にとって一過性のものではなく、ライフワークとして自分たちの事業と向き合い、責任を果たすことが求められているという指摘もあった。貴重な意見であるとともに、ずっとNGOがいることで、住民が依存し、自立が損なわれる危険性があることも、認識していなければならないだろう。
総論
「箱もの」で終るのではなく、ソフト面での自立発展性がNGOの活動には求められている。日本の村おこしが活性化するには、「よそ者」が「→若者」へ働きかけ、さらにそこに「→ばか者」が一役かうという動きがある。いかに一枚壁では決してない住民のそれぞれの心をつかんでいけるかが、今後の鍵である。
(まとめ・竹中)