日本から見て地球の反対側に位置するボリビア共和国は、初夏を迎え、Chopと呼ばれる生ビールが美味しい季節を迎えようとしています。しかし、今年は、例年になく、雨量が多いです。とくに、コチャバンバ市内から数時間バスで走ったところに位置する常夏のチャパレ地区の川は氾濫し、橋が流されてしまいました。そのため、一時期、コチャバンバとボリビア第2の都市サンタクルスを結ぶ国道が遮断され、多くの人々に多大な影響を及ぼしました。
そんな、初夏のさなか、こちらボリビアはまもなく、大統領選挙を12月18日に迎えようとしています。
2002年に大統領に選出されたGonzalo Sanchez de Lozada氏(MNR党)は、ガス売買問題等で更迭され、その後、当時の副大統領であったCarlos D.Mesa Guisbart氏(無所属)が後を引き継ぎました。しかし、議会等で他政党等と衝突があり、また、ボリビア市民による頻繁なデモ活動が行われたため辞任し、暫定的に、Edwardo Rodriguez B.氏(無所属)が現在、大統領の地位についています。4年間の中で4人も大統領が選出され、政治は不安定な状態が今なお続いています。さて、選挙日が近づき始め、週末の土曜日と日曜日には、各政党の旗を掲げた選挙カーが、ビラを配りながら、コチャバンバ市内を走り回り、選挙活動に励んでいます。今回の大統領選挙では、UN、FREPAB、MIP、NFR、MAS、MNR、USTB、PODEMOSの8政党が立候補しています。そして、MNRからは、日系人のMichiaki Nagatani氏が立候補していて、僕個人は選挙権をもっていないので投票は出来ないのですが、心の中では、MNRのNagatani氏を応援しています。しかし、2002年に選出された前回の大統領であるGonzalo Sanchez de Lozada氏もMNRに所属していたため、残念ながら「当選は難しいだろう」というのが周りの知人内の下馬評であります。
さて、次期大統領についても、もちろん興味はありますが、職業柄、どうしても、家の外壁等にペンキで塗られた各政党のロゴデザインに目が向いてしまいます(写真1)。また、NFRのロゴマークが壁に塗られていたかと思うと、数週間後には、そのNFRのロゴマークの横に、PODEMOSのロゴマークが塗られています。選挙の広報活動のための壁塗りでも戦いがあり、なかなか面白いです(写真2)。個人的に、気に入っているのはUNのロゴマークのデザインです。日本であれば、選挙時の時は、立候補者の写真が街の選挙掲示板に飾られていますが、UNのロゴデザインは、ペンキで立候補者の似顔絵が描かれ、しかも、本人にそっくりです。ロゴデザインでは、UNが一歩抜け出ているように思います。(写真3:写真4)ちなみに、選挙が終われば、元のペンキ色に塗られる家もあれば、次回の選挙まで、政党のロゴデザインのペンキが塗られたままという家もあります。選挙日まで残り少なくなってきましたが、さて、どこの政党が勝ち、誰が時期大統領に選出されるのでしょうか。
(2005年12月7日記 たかはし しんいちろう)
※この原稿が書かれたのは、選挙結果が出る前でしたが、さてその結果は、MAS(社会主義運動党)のエボ・モラレス候補が過半数を取って勝ちました(22日朝までの開票結果、開票率97%で、MAS54.1%獲得、投票率85%・朝日新聞より)。 初の先住民(アイマラ)大統領の登場です。貧困の改善をうったえたMASは開票途中までは50%以下で、右系のPODEMOS(白人系に圧倒的支持)、UN(セメント会社、バーガーキングの社長)、NFR(日系人が立候補)が連立すると過半数をとれないかもしれない状況でしたが、最終的には富裕層の多い東部の票も3割確保し過半数を超しました。先住民が大統領になることは大変画期的です。ただ、モラレス大統領は強硬な反米であり、コカ栽培農民を支持しているので、アメリカからはにらまれそうです。今後の政治的舵取りが注目されます。