2006年4月17日月曜日

第2回スタディーツアー報告① 「聖マルティンの家」を訪ねて

  コチャバンバから車で30分程度の郊外にある、今年の1月に引越ししたばかりというその場所は、緑が豊かで付近にはアドベ作りの家が建ち並び、家々では牛や羊が飼われ、にわとりやアヒルが道を横切り、川の水で洗濯している女性にも出会うようなのどかな風景の広がるところだった。門をくぐると代表の野原昭子さんと2歳のエリサちゃんがニコニコ笑顔で出迎えてくれた。
挨拶し、部屋に入ると、野原さんが一人ひとりの紹介をしてくれた。ここにはさまざまな病気、障がいを持つ人々が一緒に暮らしている。一度良くなって地元に帰り、また戻ってくる人も多いそうだ。家族の状態が悪く、食事がきちんととれずにまた具合が悪くなる人、ポトシから来た子は骨の病気が多く、田舎に帰ってもまた同じ病気になって戻ってくるという。車椅子に乗っている14歳の男の子には両親がいない。養子にもらった農家の人がお金を出して手術をしたのだが、手術後にリハビリをし
なかったので歩けないそうだ。「親が知識を持っていたら歩けるようになっていたはずなのに。」と野原さんは言う。唇下に腫瘍がある2歳の女の子は手術したいけれど、5歳~8歳になるまでは手術ができない。この子にも両親がいない。手術が失敗して障がい者になることはこの国ではよくあるそうで、水とう症の手術が失敗して歩けなくなった女の子がいる。ずっと背中を向けている女性は5年間ここで暮らしているが、他の人との交流を避けて言葉もなく、いまだに出身地も過去に何があったのかもわからないそうだ。小児麻痺で知的障がいのある23歳の女性は、手の手術をしてジャガイモをむけるようになった。今は毎日の生活で必要な掃除、洗濯、炊事、裁縫などを訓練ているという。
 現在2歳から34歳までの合計16人(常に人数はかわる)が、お互い助け合いながら一緒に暮らしている。「ここは家だから、私は「ショウコ」と名前で呼ばれています。」という野原さん。スタッフが増えたとはいえ、夜はいつも看護婦さんと野原さんの2人、土曜日の午後から月曜日の朝までスタッフは野原さん1人とのこと。入所者は自分に出来ることでお互を支えながら共同生活をしている。みんなが助け合っているここでの暮らしは大家族のようだ。                 
(T・E)