そして再度、高校を卒業して間もない田中君と共に12月にこの村を訪れた際には、傾斜地の整地がほぼ終了していたのでほっとしました。しかし、それ以降は、自分にとって、そして親方サンティアゴにとっては至難の連続でした。
・雨期の川を渡っての徒歩3時間30分の現場までの道のり
・材料の運搬が川の水量増加により一時不可能になっ
たこと
・柱の施工ミスによるやり直し
・村人の中から雇った手元に対する住民の妬み
・徐々に減っていく住民参加の人数
・鼻血が止まらない親方サンティアゴと糖分と栄養不足によ
る栄養失調で倒れる自分
・いつまでも集まらない屋根葺き用の草
そんな不安を抱えている時に、日本から、学び舎の会の佐藤隆さんが来てくれました。
施工について様々な点についてアドバイスをしていただけたことがありがたく、本当に助かりました。
次いで、2棟目の時も感じましたが、完成したら本当に使ってくれるのだろうかという不安を心の底に抱えながらの施工でした。しかし4月下旬、佐藤さんと共に2棟目の学び舎で識字教育が開催されているのを見たとき、3棟目も完成したらきっと使ってくれるだろうという思いが生じ、それを糧に最後まで建設作業に取り掛かりました。
そして、7月3日(木)、最後のコチ・バケリーヤ村へ向かう日が来ました。
道中、毎回見かける、車の事故、ガソリンスタンドで車に轢かれ目の前で亡くなってしまった子どもの光景、そして10月の調査が脳裏をよぎりながら、コチ・バケリーヤ村へ夜8時到着。
次の日、7月4日(金)は、本当に最後の仕上げ作業に取り掛かりました。建具屋が当初予定していたより、扉の設置に時間がかかり、また椅子の座面の幅300mmという寸法であったため、螺子を取り付ける際、作業性が悪く、思っていた以上に時間が掛かり、建具屋エリアスと手元、親方サンティアゴ、手元フェリックスとバシリオ、自治会役員フェリペ、そして髙橋の合計7人で夜中2時まで、椅子と机に螺子を取り付ける作業を行いました。
そして、最終日、7月5日(土)を迎えました。
午前中、各自残っている作業を、職人さんと住民3名と黙々とこなし、引渡し式開始を予定していた午後1時を迎えました。しかし、なかなか市役所の緑色の乗用車が見えず、不安を抱えていると、やっと、午後2時頃到着。
そして遂に、澄み切った青空の下、引渡し式を迎えました。
現場作業を共に行い、また現場作業後サッカーを一緒に楽しみ汗を流した見慣れた顔ぶれの男衆、そして、普段、住民集会などであまり見かけない女性達が集まりました。女性たちが来てくれたことは本当に嬉しかったです。
そして、髙橋とサンティアゴに怒鳴られながらも、最後の引渡し式の準備まで頑張った村長ザイモンドと秘書ビクトルには心から拍手を送りたいと思います。
学び舎が完成したことは大変嬉しく思います。市長をはじめ、タコパヤ市役所の役員にも色々、お手伝いいただきました。しかし、引渡し式の舞台で本当に語らなければいけないのは現場作業を行ってきた職人や住民だと感じました。完成まで一度も訪れなかった市長や役員が舞台に立ち、握手をして喜び合い、少し遠く離れた場所で住民達が喜びあっている光景には何か違和感を感じたのも事実です。市長や教育長の意見は、これからも学び舎を機能させていくためには大変重要だと思いますが、建設に参加した住民側からの意見も述べられるべきだと反省しています。次回の引渡し式では、この点、注意した方がいいと感じました。
コチャバンバ市在住の出合さん、昨年度の調査、そして、今回の引渡し式関連の一連の作業のお手伝い、本当にありがとうございました。これからもどうかよろしくお願いします。
引渡し式を終えた後も最後の荷積みまで頑張ってくれた親方サンティアゴ、そしてタコパヤ市役所のトラック運転手ゾハス氏にも感謝したいと思います。
また、柱施工ミスの際など、設計・施工に当たって的確なアドバイスを送っていただいた、福峯さんをはじめとする建築部会の皆様、様々なアドバイスを送っていただいた永田さんをはじめとする日本の皆様、またボリビア在住の北山さん、山城さん、現地での経験を元にしたアドバイスを色々ありがとうございました。
これから、4棟目の建設開始準備が始まりますが、2棟目・3棟目のように現場に張り付くことは出来ませんが、最大限、協力したいと思います。
4棟目は、コチ・バケリーヤ村以上の高地での作業となり、また1・2・3棟目のモニタリングなど肉体的・精神的に大変だと思いますが、落合裕梨さんにはぜひ頑張ってもらいたいと思います。
そして、最後に、寄付をしていただいた皆さんのおかげで、3棟目も無事完成しました。ありがとうございました。
(高橋)