2003年3月9日日曜日

ソフト部会から  3棟目の採光について     ソフト部会長 伊藤有樹

写真1 かまど
コチ・ヴァケリーヤ村[写真2]への、またその付近の他の集落への電気、ガスなどの供給は現在整備されておりません。夜は基本的に明かりは無く、重要な集会や識字教室の開催のときのみLPGガスランプを使用する状況です。調理用の煮炊きも土ブロックで竈を作り、潅木の枯枝や草、獣糞を燃料にして行っています。[写真1:かまど]
写真2 コチ・ヴァケリーヤ村
写真3 コンドーリ村 太陽パネル


 





 近辺の集落でコンドリーリ村というところにある識字教室として使っている建物には、外部から供与された太陽発電パネルが設置されています。[写真3] 夜間の教室で一灯のみのLPGガスランプでは、照度不足でもあり炎も揺れ、書類が見づらいといった不満もあったそうです。
 今回コチ・ヴァケリーヤ村における識字教室建設にあたり、そのような照明に関する問題点に関しても私たちは検討をし、村に提案したいと考えています。
 与条件として、「教室は昼間使用だけでなく夜間使用も念頭に置かなくてはならない」ということです。
 解決方法として、1.「公共電力網を引く」、2.「風力、太陽光発電による局部電力供給」、3.「既存LPGガスランプの使用を継続し、使用環境(屋内の反射率等)を改善」などといったことが考えられました。
 問題点は、a.「資金を潤沢に供給すれば基盤整備など行うことができるが、果たしてそれは全域の中でどういう位置付けになるのか検討不可能」b.「先端技術を援助する場合、例えば風力発電では機械のメンテナンス、太陽光ではバッテリー等の保守交換に対し、現地でその技術と資金があるのかどうか?」というものが考えられました。
 結果、「現在の方法を踏襲しつつ(LPGガスランプ)、建物内部など使用環境を整備していく」ような方向性が妥当である、という結論となりました。電灯電球といった私たちが普通にしている夜の光景から程遠いとは思いますが、コチ・ヴァケリーヤ村にとってみれば、新規な革新ではなく、少しの手間で生活環境を便利にしていく指針になってくれたらいいなぁ、と思っております。
 
 次に、コチ・ヴァケリーヤ村周辺は高地の例にたがわず樹木は皆無の地域であります。先にも述べましたが、わずかの潅木を工具、小屋構造、燃料等に用い、草類はリャマや羊の放牧用、屋根葺き材料、煮炊き用として使用します。ジャガイモや豆といった畑作を繰り返し、もともとわずかしかない大地の力を切り取り搾り取りしているような状況と思えます。短絡的に考えれば、良質エネルギー配信網を全域に整備すれば、少なくとも村周辺の大地への負担は減るかもしれません。しかし、「個人」もしくは「集落」といった立場でものを考えると、そのような方法(棚ボタ式?)を待っているよりも、(全域的な問題意識は持ちつつ)身近のものを改良していくのが正解なような気がしています。例えば、家屋熱貫流量の低下、ストーブ・煮炊き窯の熱効率の向上など、調べていけばどんどん出てくるような気がしています。今後、さらに見つめ互いに教え合っていく必要があると思っています。